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大航海時代 Onlineの冒険と旅行記
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不思議な奏法

ディジュリドゥ

アボリジニの伝統的な木管楽器で、世界最古の楽器ディジュリドゥ。
音はアイヌの民族楽器ムックリに似ています。
カンガルーの跳ねる音、ディンゴの遠吠え、ワライカワセミの鳴き声、ブーメランの飛行音などがあり、目を閉じてディジュリドゥの音色を聞いているとオーストラリアのブッシュが頭に浮かんでトランス状態になってしまいます。

お土産用は、機械で穴を開けた物にアボリジナルアートをペイントして、それらしく見せていますが、本来は、白蟻が雨避けに巣食ったユーカリの枝から作られます。
その為、雨季乾季のあるオーストラリア北部でしか原材料が採れず(南部は日本と逆の四季)、北部のアーネムランド産か、北西部のキンバリー産が殆どです。


ディジュリドゥ偶然、自作のディジュリドゥで、路上パフォーマンスをやりながら、オーストラリアを旅している人物と知合うことができました。
ディジュリドゥを吹きながらギターを弾き、肩に乗せたオウムが曲に合わせて歌うという離れ業の持ち主。
すっかり心酔してしまい、ディジュリドゥ作りから教えてもらいました。

ユーカリを叩いて、空洞になっているかを確かめ、
枝を切ったら樹皮を剥いで、音がよく響くように薄く削ります。
吹き口に、蜜蝋のマウスピースを付ければ完成。

穴の形は同じ物が2つと無い為、枝によって音も様々。基本的には、太く薄く長い物ほど良い音が出ます。
旅行中だったので、持ち運べるよう、小型でなるべく良い音が出る枝を選びました。

口を震わせながら空気を吹き込むという奏法なのですが、音を途切れさせない為には
循環呼吸が必要になります。
口に溜めた空気を頬の力でディジュリドゥに送り、その間に鼻から息を吸い込んで肺に補充するというやり方なのですが、これが出来るようになるまで1ヶ月程かかりました。


ディジュリドゥは魔物の逸物を模したという伝承があり、女性は吹いてはいけません。
吹くと妊娠してしまい、また妊娠した女性が吹くと流産すると言われています。
部族によって伝承は様々で、逆に女性しか吹かない部族もあるようです。

ある部族では、人はそれぞれ役割を持って生まれてくるとされており、生まれた時、長老に、その役割を告げられます。
そこで吹き手に選ばれた赤ん坊は、祭事にディジュリドゥを吹くことになるのです。


GVOのオセアニアの街に、ディジュリドゥが立て掛けられていることに気づいた人はいるでしょうか?
民芸品店では、よく、このようにディスプレイされていますが、
当時のアボリジニは、大きな木の下や、自然の洞窟を住居にしており、楽器をこんな風にディスプレイする習慣はありません。
また、一緒に置かれている民芸品は、西アフリカのジャンベと呼ばれる太鼓などで、明らかに地域が違います。
アフリカの街は、円筒形の住居等が、とても良く再現できているのに、オセアニアの街は、参考にする資料を間違えたようで、少し残念でした…。
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寝床を借りに

フクロギツネ

カカドゥで見つけたフクロギツネです。
夜行性で、日中は樹の洞で寝ていますが、夜はこのように食事に出てきます。
食性は雑食で、木の実の他、昆虫等も捕食します。


フクロギツネ外見からキツネという名前がついていますが有袋類。
(樹上で暮らしていますし、全く似ていませんが…。)

近似種に、フクロシマリス、フクロムササビ、フクロモモンガ等がおり、オーストラリアでは、これら小〜中型の有袋類を、一括りにポッサムと呼んでいます。

さらに小型の有袋類は、ベットンと呼ばれていますが、有袋類の分類は未だに曖昧で、はっきりと線引きされていません。
沖合いの小島で、独自に進化した固有種もいるんですよ。

ムササビやモモンガのような有袋類までいるなんて、生物の姿形は、種に依存しないで、環境によって変化するものなんですね。
『恐竜が絶滅しなければ、爬虫類人間が誕生していた。』と言う学者もいますが、クジラやイルカが哺乳類であることを考えると、あながち間違いではなさそうです。


有袋類は、オーストラリアの固有種と思われがちですが、北南米大陸にもオポッサムやケノレステスという品種がおり、また化石は世界各所で見つかっています。

古い時代の化石は北半球に集中していることから、有袋類の起源は北半球であると考えられています。
北半球の有袋類は、有胎盤類との生存競争に敗れて早々に絶滅しますが、大陸移動の過程で地続きになった際、当時、南半球に存在したゴンドワナ大陸へ分布しました。

ゴンドワナ大陸は、南米大陸、南極大陸、オーストラリア大陸に分裂し、南極の有袋類は環境に適応できず絶滅。
南米では、パナマ地峡を通じて北米から流入した肉食獣により数を減らしますが、僅かにオポッサム数種とケノレステス数種が残りました。
肉食獣が少なく、孤立した大陸のオーストラリアで有袋類は繁栄しましたが、人間という外敵が入ってきてしまいましたね…。


テノチティトランの前提発見物にもなっている、北南米大陸の有袋類オポッサム。
名前から気づいた人もいるかもしれませんが、オーストラリアでフクロギツネ等の小〜中型の有袋類が発見された際、先に発見されていたオポッサムから、ポッサムという名前が付けられたそうです。
名前が似ていることから混同されますが、両者は近似種ではありません。
このような動植物の隔離分布は、南半球の大陸間でよく見られ、ゴンドワナ要素と呼ばれているそうです。
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南東の大陸にすむワニ

クロコダイル

オーストラリアの北部にはクロコダイルが多く生息し、ワニ注意の標識もあちらこちらにたてられています。

オーストラリアには、淡水に生息するフレッシュウォーター・クロコダイルと、海水・淡水の両方で生息することができるソルトウォーター・クロコダイルの2種がいます。


フレッシュウォーター・クロコダイルフレッシュウォーター・クロコダイルは、体長3m程と小型で、GVOの説明文は、こちらを指していると思われます。

この種は、気性が穏やかで、人間を襲わないと言われており、
フレッシュウォーター・クロコダイルしか生息していない川では、遊泳も可。
一応、肉食だと言うのに、細かいことを気にしないオーストラリアならではです。


ソルトウォーター・クロコダイルは大型で、体長7mに達する個体もいます。
体格もがっちりしており、同じワニでも、細身のアリゲーターやカイマンと比べると、遥かに大きく感じられます。
気性は獰猛で、人間を捕食することもあり、人食いワニと恐れられています。

ソルトウォーター・クロコダイルは、別名イリエワニと呼ばれ、日本ではこちらの名前の方が通っているかもしれません。
この名前は、縄張り争いに敗れた幼体のクロコダイルが、川を下って入り江に出ることに因んでいます。
海へ出たクロコダイルは、アラフラ海を越えて、広く東南アジアまで分布しています。


『大河に潜む獣』というクエストで、ナイルワニが別の発見物とされていますが、こちらもアフリカの河川等に生息するクロコダイルです。
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精霊と人々の風景

古代の岩絵

写真は、カカドゥ国立公園内にあるノーランジーロックの岩絵。
アボリジニの岩絵は各地に存在しますが、カカドゥ国立公園内にあるノーランジーロックと、ウビルーの岩絵は特に保存状態が良く、約2万年前に描かれた岩絵が鮮明に残されています。


ノーランジーロックの岩絵アボリジナルアートは、樹液や、石を砕いて水に溶かした物を絵の具、木の枝を筆として描きます。

サムネイルのような、人や動物の体を透かし、骨格や内臓が描かれた絵を、X線画と言います。
これは、文字を持たないアボリジニが、動物の急所や食せる部位を示し、狩りに役立てる為に作られた画法と言われています。

X線画法の他には、点描画や、絵の具を口に含み、
壁面を手でマスキングして吹きつけ、手形をスプレーする画法もあります。


岩絵には、動物の他に、ドリームタイムと呼ばれるアボリジニの神話が描かれます。
アボリジニは、部族ごとに言語が異なり、伝承にも差異はありますが、ドリーミングという独特の共通した世界観を持っています。

ドリームタイムは壮大な創世神話。
物質世界と精神世界がリンクしており、現在もまた神話の最中にあります。
(複数の時間軸が共存しているのではありません。
神話は、過去の特定の時代の話ではなく、今もそこに在るものなのだそうです。)

アボリジニ以外の人種には難解な概念ですが、オーストラリアの大自然の中にいると、時間の流れが曖昧に感じられることがあります。
永遠の物語は今も続いているのです。
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カカドゥ

カカドゥ

カカドゥ国立公園は四国とほぼ同じ面積。
熱帯ジャングルに、クロコダイル、野鳥、巨大な蟻塚、古代の岩絵が残り、文化・自然の両方を満たした複合遺産に指定されています。
また、この辺りは、UFOの多発地帯としても有名です。本当に出るんですよ!


カカドゥ国立公園カカドゥ国立公園や、ウルル・カタジュタ国立公園を擁するノーザンテリトリーは未だ準州で、10年程前に自治権を得たばかりです。

街と街の間隔は100km以上、地図に街として掲載されている場所に、ガソリンスタンドがポツンと一軒あるだけというのも珍しくありません。

乾季には、乾燥と高温から、ブッシュファイヤーと呼ばれる自然発火が頻繁に起こるような、厳しい自然環境の元にありますが、最もオーストラリアらしさを感じられる地域です。


実際のカカドゥには港はなく、そこから100km程西の入江にあるダーウィンという街がGVOのカカドゥにあたります。
(ビーグル号が上陸した際、先の航海の乗組員チャールズ・ダーウィンに因んで命名されますが、ダーウィン自身は訪れていません。)
ダーウィンは、この準州の州都にして最大の街ですが、アウトバックのノーザンテリトリーですから、最大と言ってもこじんまりとした田舎町です。

街の中心部にあるモールには、大陸縦断を達成した探検家マクドゥオール・スチュアートの像が建っています。
この偉業を称え、南オーストラリア州の州都アデレードとダーウィンを結ぶ大陸縦断道路は、スチュアート・ハイウェイと名付けられています。
同時期に大陸縦断を競ったバーク隊は、南極点到達をアムンセン隊と競ったスコット隊と同様に悲劇に見舞われます。
この物語は本当にドラマチックなので興味のある方は調べてみてください。お勧めです。
(2003年には、大陸縦断鉄道も開通し、週2便運行しています。)


ダーウィン戦争博物館第二次大戦で、オーストラリアは日本の攻撃を受け、北部のダーウィンは最前線となった為、度重なる空襲で壊滅的な被害を被りました。
その為、反日感情を持った人も多く、戦争ドキュメント番組が放送された翌日などは、生卵を投げつけられることもあります。
オーストラリアでは、大きな街には必ず戦争慰霊碑があり、忘れられない傷となっているのです。

日本に限りませんが、自国の侵略の歴史を詳しく教育する国はありませんから、このことを知らない日本人が殆どだと思います。
海外渡航の際は、こういった歴史認識や文化・宗教についても予習して欲しいと思います。


先住民アボリジニの集落が多いことから、この辺りは、アボリジニの故郷と呼ばれますが、かつては東海岸の沿岸部にもアボリジニは暮らしていました。
入植者に土地を追われ、過酷な環境で暮らさざるを得なかったのです。

後にオーストラリア政府は、懐柔政策へ転換し、アボリジニに酒を与えましたが、
飲酒の習慣の無かったアボリジニは、その多くがアルコール中毒になりました。

現在、政府は、謝罪として、生活保護の支給や、アボリジニ居住地域へのプレハブ建設等を行っています。
しかし、この施策は、アボリジニを生活保護へ依存させてしまうという結果となってしまいました。
また、伝統的な生活を送るアボリジニの多くは野外で暮らしている為、プレハブの住居は使用されることなく、そのまま放置されているようです。
都市部で暮らすアボリジニもいますが、生活保護とアルコールで荒んだ生活を送ることが多く、白人との摩擦を、さらに大きなものにしています。
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