25.Jul.2009
カカドゥで見つけたフクロギツネです。
夜行性で、日中は樹の洞で寝ていますが、夜はこのように食事に出てきます。
食性は雑食で、木の実の他、昆虫等も捕食します。
外見からキツネという名前がついていますが有袋類。
(樹上で暮らしていますし、全く似ていませんが…。)
近似種に、フクロシマリス、フクロムササビ、フクロモモンガ等がおり、オーストラリアでは、これら小〜中型の有袋類を、一括りにポッサムと呼んでいます。
さらに小型の有袋類は、ベットンと呼ばれていますが、有袋類の分類は未だに曖昧で、はっきりと線引きされていません。
沖合いの小島で、独自に進化した固有種もいるんですよ。
ムササビやモモンガのような有袋類までいるなんて、生物の姿形は、種に依存しないで、環境によって変化するものなんですね。
『恐竜が絶滅しなければ、爬虫類人間が誕生していた。』と言う学者もいますが、クジラやイルカが哺乳類であることを考えると、あながち間違いではなさそうです。
有袋類は、オーストラリアの固有種と思われがちですが、北南米大陸にもオポッサムやケノレステスという品種がおり、また化石は世界各所で見つかっています。
古い時代の化石は北半球に集中していることから、有袋類の起源は北半球であると考えられています。
北半球の有袋類は、有胎盤類との生存競争に敗れて早々に絶滅しますが、大陸移動の過程で地続きになった際、当時、南半球に存在したゴンドワナ大陸へ分布しました。
ゴンドワナ大陸は、南米大陸、南極大陸、オーストラリア大陸に分裂し、南極の有袋類は環境に適応できず絶滅。
南米では、パナマ地峡を通じて北米から流入した肉食獣により数を減らしますが、僅かにオポッサム数種とケノレステス数種が残りました。
肉食獣が少なく、孤立した大陸のオーストラリアで有袋類は繁栄しましたが、人間という外敵が入ってきてしまいましたね…。
テノチティトランの前提発見物にもなっている、北南米大陸の有袋類オポッサム。
名前から気づいた人もいるかもしれませんが、オーストラリアでフクロギツネ等の小〜中型の有袋類が発見された際、先に発見されていたオポッサムから、ポッサムという名前が付けられたそうです。
名前が似ていることから混同されますが、両者は近似種ではありません。
このような動植物の隔離分布は、南半球の大陸間でよく見られ、ゴンドワナ要素と呼ばれているそうです。