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大航海時代 Onlineの冒険と旅行記
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石の記憶

十戒

預言者モーゼは、虐げられていたイスラエルの民を連れてエジプトを脱出し、
紅海を割ってシナイ半島に至ります。
そして、シナイ山の山頂で、神から十戒を授かりました。
(よく混同されますが、預言者とは、神から言葉を預かる者で、予言者とは異なります。)

シナイ山このシナイ山で、山頂からご来光を拝んできました。

登山中、ベドウィン(アラビア半島の遊牧民)の老人と知り合い、ご一緒させてもらったのですが、なんと、この老人の名前がムーサだったんです。
ムーサとは、モーゼのアラビア語読み。
偶然にも、モーゼと一緒にシナイ山に登ってしまいました!


ネボ山その後、モーゼ一行は、『約束の地カナン』へ向かいますが、逃避行に疲れた民が、不平を口にした為、
神に40年間の放浪を課されます。

写真は、ヨルダン渓谷の東にあるネボ山の山頂。
モーゼが杖を蛇に変えた逸話からイメージされた碑があり、ここから、死海とその先にあるエルサレムを見ることができます。

40年間、シナイ半島の荒野を彷徨ったモーゼは、
ここで民に『約束の地カナン』を示し、120歳で息を引きとったと言われています。


この辺りには、『アイン・ムーサ』と呼ばれる地名がいくつか存在します。
アインとは、アラビア語で泉という意味で、『アイン・ムーサ』は、『モーゼの泉』という意味になります。
イスラエルの民が、荒野で水に窮した際、モーゼは神託を受け、岩を杖で打ちました。
しかし、何も起こらなかった為、もう一度、岩を打つと、そこから水が湧き出したと言われています。

ところが、二度、岩を打つという行為は、神への疑念にあたるとされ、神はモーゼが『約束の地カナン』に入ることを許さなかったのです。
これらの泉は、現在でも、荒野を潤し続けています。

ミケランジェロの彫刻や、その他の絵画で、モーゼは角がある姿で表現されています。
ヘブライ語には母音の文字が無く、子音だけで表記する為、読み方によっては別の単語になります。
旧約聖書がラテン語に翻訳される際、『輝く』という単語が『角』と誤訳され、後の芸術作品にまで影響を与えてしまったという訳です。


モーゼ亡き後、イスラエルの民は、後継者のヨシュアに率いられて『約束の地カナン』へ入り、ヨルダン川西岸の街エリコへ侵攻します。
ヨシュアは神の啓示に従い、雄羊の角笛を携えた7人の祭司に『契約の箱』を先導させ、その前後に兵士達を配します。
そして、角笛を吹き鳴らしながら、エリコの城壁を1周させ、これを6日間繰り返させます。
7日目には城壁を7周させ、兵士に『鬨の声』を上げさせると、突然、城壁が崩れ落ち、これにより戦いに勝利します。

テル・アッスルターンこのエリコには、テル・アッスルターンという遺跡があり、なんと紀元前7800年頃の住居跡や円形塔が見つかっています。
さらに、紀元前3000〜2000年頃の城壁跡も残っており、エリコは世界最古の城塞都市と言われています。

ヨシュアのカナン征服は、紀元前13世紀頃で、これより後の時代となります。
おそらく、ヨシュア記にある城壁の逸話は、ここに城塞都市があったことから、創られた物語なのでしょう。

ヨルダン渓谷周辺では、紀元前6000年頃の神像や土器も多数、出土しています。
あまりに古い年代ですが、死海沿岸は世界最低地の海抜マイナス400mにあることから、地質学の鑑定にズレが生じていないか気になります。


その後の戦いに於いても、『契約の箱』は多くの奇跡を起こし、イスラエルの民は『約束の地カナン』への定住を果たします。
ペリシテ人の侵攻の際、『契約の箱』を奪われることもありましたが、ペリシテ人を災厄が襲ったため返還され、
その後、ソロモン王が建設したエルサレム神殿の至聖所に安置されることになります。

しかし、紀元前7世紀頃に執筆された歴代誌を最後に、旧約聖書から『契約の箱』に関する記述は無くなり、文字通り『失われたアーク』となります。

新バビロニアに占領された『バビロン捕囚』の際に押収されたと考えるのが自然ですが、押収品の記録の中に、それらしい物は無かったそうです。
神話や伝説は、史実に創作を加えて創られていることが多々ありますが、エチオピアにもたらされている可能性もあるのでしょうか?


ユダヤ教と、旧約聖書を元にするキリスト教、イスラム教、さらに、その宗派毎に、十の戒律の内容は微妙に異なっています。
十の戒律では安息日を設けることになっていますが、イスラム教は金曜日、ユダヤ教は土曜日、キリスト教は日曜日です。
イスラエルでは、商店が閉まっている曜日で、そこが何教徒の居住エリアなのか、わかるんですよ。


ヴァル・ミツヴァ旧約聖書は、キリスト教の新約聖書と区別する為の呼称で、ユダヤ教で聖書はこれだけです。

一つの聖典だと思われがちですが、律法や歴史等、様々な文書を纏めた物となっており、そのうち、創世記、出エジプト記、レビ記、民数記、申命記の5つを、トーラーと呼びます。

ユダヤ教では、男子は13歳を迎えると、ヴァル・ミツヴァ(戒律の息子)と呼ばれる成人式を行います。
信仰深いユダヤ教徒は、『嘆きの壁』の前でトーラーの巻物を読み、親族が雄羊の角笛を吹き鳴らして式を祝います。
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